株主総会は企業刷新の好機

日本の上場企業の多くは3月決算ですので、定時株主総会は6月下旬に集中しています。そのため6月は株主総会シーズンと言われます。総会日を6月28日に想定したケースの大会社の株主総会モデルはこちら(pdf)です(三菱UFJ信託銀行証券代行部編「平成24年度株主総会実務なるほどQ&A」232頁~237頁)。

したがって、会社の経理部・法務部は3月下旬から総会に向けた準備に入っています。総会に出席する顧問弁護士に会社から相談があるのは大体4月下旬頃で、事業報告の概要と提案予定の議案の素案について相談を受けます。

株主総会は正々堂々と王道を歩もう

上場企業から株主総会の運営指導の依頼を受けたときは、私は王道を極め正々堂々と正面突破をすることを基本理念として会社にアドバイスをしています。
株主総会は会社をブラッシュアップ(刷新)するチャンス(好機)であり、このチャンスを大切にしてこの機会に会社の抱えている問題点を総ざらいするようアドバイスしています。

長い間総会屋さんが企業の株主総会に顔を出していたため、総会屋対策イコール株主総会対策というイメージがありました。しかし今は株主総会に出席する株主はほとんど一般株主です。
一般株主からの質問は招集通知をもとにしたやさしい質問がほとんどです。
大きな社会問題を起こした企業は質問も多く内容も厳しいですが、それでもほとんどが最後は会社提案が通って終わっています。
2011年の6月総会は2,000社近く開催されていますが、否決されたのは1社の1議案のみです。
企業の経営権をめぐって役員側と大株主の側で熾烈な委任状合戦が行われている例外的な場合を除き、ほとんどの場合会社提案が通っています。

どうせ勝つならこそこそした勝ち方をせず、会社についての株主の批判を真正面から受け止め正々堂々と王道を歩むべきだというのが私が常に基本と考えている点です。

総会準備こそ自社をブラッシュアップ(刷新)するチャンス(好機)に生かそう!

株主総会当日の株主(一般株主)の質問はやさしい軟球がほとんどです。社長(議長)や他の役員にとりこれを打ち返すのはそんなに難しいことではありません。

私は当日もさることながら、リハーサルを含む総会当日までの準備を重視しています。
リハーサルにおける社長(議長)や取締役への質問は私は剛速球を役員がのけぞるような胸元すれすれのところに投げるように心がけています。
会社側が作成した想定質問を参考にしますが、それにこだわらず独自に想定した質問を作成します。そのための基礎資料は過去3年間の決算の内容、3年分の招集通知書、この1年間の4半期決算報告と決算短信、競業他社との業績比較、経済界の動きなどです。これをもとに中長期計画と現状を分析し、目標としたものと結果を比較します。過去に発生した不適切な会計処理や違法行為や行政指導の内容と現在の状況も再点検します。

そのうえでリハーサルではまずその会社の最高意思決定者(多くは議長である社長)に剛連球を胸元すれすれに投げます。弁護士からの剛連球を受けた後ですから、総会当日に一般株主の軟球を打ち返すのはたやすいことです。ただしリハーサルで役員を追いつめ、困惑させることが私の本来の目的ではありませんので、質問事項は事前に役員に送ってその回答の準備をお願いしています。それでも各役員の方々は胸元すれすれの剛連球から身をよけるのに苦戦しています。

公正な企業ほど伸びる

不公正がまかり通る企業はいずれボロが出て衰退の道を歩むことになります。株主総会を企業が抱えている問題点を洗いなおす絶好のチャンスととらえて役員も株主も従業員も臨むべきであると思います。チャンスを活かすためには総会当日よりも準備段階こそ大切です。公正な企業ほど伸びるということは、成熟社会では当然のことです。企業コンプライアンスについて、私は当初どうせ上辺だけで終わると軽く見ていましたが、どうしてどうして企業コンプライアンスは企業経営の最優先事項となりつつあります。他国と比べて社長も一般社員も身分格差も経済格差も少ない日本社会の企業ならではこそと思います。

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