ゲレンデ滑降中のスキー事故で損害賠償【損害賠償請求】

二十数年前のスキー衝突事故

当事務所(当時は清水建夫法律事務所)で扱った二十数年前のスキー衝突事故です。
ひとたび事故が発生すると負傷した方は勿論のこと、負傷させた側も経済的のみならず精神的にも大きな負担となります。スキーヤーの皆さんどうか最善の注意でスキーを楽しんでください。

事案の概要

  1. 本件事故は、栃木県所在のスキー場ゲレンデの中・上級者向けコースで起きた。同コースのスキーヤーは特に多かったわけではなく、その数は「そこそこ」であった。
  2. X(原告)は、当時スキーコーチを受けるため、10人位の中級者グループの一員としてコーチの指示にしたがって下方の練習によい場所に行くため順次連らなり緩やかに滑降し始めて間もなく、突然Y(被告)がかなりの勢いで衝突してきた。
  3. 一方、Yは、当時Xの滑降ルートの右側をパラレルターンをしながら滑降していた。Yの右側をYと同方向に滑降する男性スキーヤーが徐々に近づいてきたのでYは、このままの滑降進路では危ないと考え、早めにその進路を変更すべく左側にターンしたところ折柄滑降中のXに衝突し、Xをその場に転倒させたものである。Yは、Xと衝突するまでXを認めていないし、Xとともに順次連らなり滑降していたXのグループさえ目にしていない。
  4. Xの請求額は352万7550円と事故日から支払いずみまで年5%の割合による遅延損害金。

Yの過失に関する裁判所の判断

  1. XがYの後方から滑降してきたとするYの供述、更には滑降に際し周囲の安全確認を十分に尽くしたとするその供述はいずれも信用するに疑わしく、むしろこれを否定すべきものと認めるのが相当である。
  2. 本件事故は、Yが周囲、とりわけ左方に対する注意を怠って滑降したことからXらスキーヤーの存在を見落し、しかも、ターンにあたって周囲に対する十分な安全を確認することなく急角度でターンをした結果、本件事故となったものであり、本件事故はYの一方的な過失によるものである。
    Yが、左側に対する注意をより尽くしていたらXを含めた一団の滑降スキーヤーを確認でき、それとの対応において本件事故は十分回避できたものであって、本件事故はYがその右側を滑降する男性スキーヤーに気をとられたことに起因するものといって妨げない。
  3. Yは、本件事故はスポーツ事故として一般的にその発生が予想された事故の範囲に属し、社会的にも容認された違法性を欠くものであると主張するが、これまで検討してきたYの過失内容を考えると、本件事故をもってスポーツ事故として社会的に容認された性質のものと解すべきものではない。上記主張は採用するにたりない。

Xの損害額に関する裁判所の判断

1 ア 治療関係費
(1) 治療費     金5100円
(2) 入院雑費   金1万5600円(13日分)
(3) 交通費     金4800円

イ その他雑費   金1万2050円

ウ 入通院慰謝料 金70万円
Xの受傷による入通院は、入院期間13日、通院期間4日であるが、受傷の部位、程度は、顔面頬部、上顎部、前頭骨骨折というかなりの重症で手術も全身麻酔により3時間の長きににわたっている。術後の経過は順調であり、現在では手術痕もほとんど外から見て判別しがたいまでになり、また知覚障害も消失しているけれども、その間23歳の独身女性であるXが被った精神的不安と苦痛は筆舌に尽くしがたいものであったことは推認するにかたくない。
その慰謝料は金70万円をもって相当とする。

エ 慰謝料     金50万円
現在のXは受傷による知覚障害もなく、手術痕もほとんど識別困難なまでに安定し、その他眼球等の運動障害もない。したがって、女性であるXに醜状痕があることを前提とする慰謝料は認められない。
しかし、Xに対しては、本件事故による手術に際し、骨折部位を固定するための4枚の金属プレートが顔面に挿入され、その残存による感覚的な違和感は現になおXにあるうえ、異物が顔面に挿入、固定されていることに対する将来的なXの不安も無視できない。
また、事故当時のXは、研修期間中であったことから、本件事故による研修の遅れに対する不安、関係者に対する影響などの点について精神的な動揺があったとし、手術痕も独身女性として特に神経を使い気になっていること、本件事故に対するYの誠意も余り認められないことなど慰謝料算定にあたって考慮すべき事実がある。
よって、上の諸点を考え金50万円をもって相当とする。

オ 弁護士費用   金13万円

2 裁判所が認容した総額 136万7550円と事故日から支払いずみまで年5%の割合による遅延損害金

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