相続・遺言【法律情報:家事事件2】

裁判所は一般の人でも利用しやすいように家事事件Q&Aを作成し公表しています。

以下は、裁判所HPで公表された相続・遺言(遺産分割調停の申立、遺留分減殺請求、相続放棄の申述、限定承認の申立、自筆証書遺言の検認、相続財産管理人、特別縁故者に対する相続財産分与)に関するQ&Aを引用してご説明させていただきます。

遺産分割調停

被相続人が亡くなり,その遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合には家庭裁判所の遺産分割の調停又は審判の手続を利用することができます。調停手続を利用する場合は,遺産分割調停事件として申し立てます。この調停は,相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てるものです。

調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,各当事者がそれぞれどのような分割方法を希望しているか意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,合意を目指し話合いが進められます。

なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され,裁判官が,遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して,審判をすることになります。

遺留分減殺請求

遺留分とは,一定の相続人のために,相続に際して,法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで,被相続人(亡くなった方)の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。遺留分減殺請求とは,遺留分を侵害された者が,贈与又は遺贈を受けた者に対し,遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求することです。
遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話合いがつかない場合や話合いができない場合には,遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することができます。
なお,遺留分減殺は相手方に対する意思表示をもってすれば足りますが,家庭裁判所の調停を申し立てただけでは,相手方に対する意思表示とはなりませんので,調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があります。
この意思表示は,相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過したときは,することができなくなります。
調停手続では,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらったり,遺産について鑑定を行うなどして事情をよく把握したうえで,当事者双方の意向を聴取し,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,話合いを進めていきます。

Q.親が長男に全財産をやるという遺言を残して死んだのですが,次男である私は全く遺産を得ることはできないのでしょうか。

A. そのような場合でも,遺留分という法律上取得を保障されている一定の割合については,遺留分を請求することができます。
→申立手続等については「家事事件について」の「遺留分減殺による物件返還請求」をご覧下さい。

相続の放棄の申述・限定承認の申述

相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

1.相続人が被相続人(亡くなった方)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ単純承認
2.相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない相続放棄
3.被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

相続放棄の申述は相続人のうち一人でもできますが、限定承認の申述は相続人全員が共同して行う必要があります。

Q. 父の死亡後,父に多額の借金があることが分かりました。債権者から請求を受けないようにするために,よい方法はないでしょうか。

A. 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内であれば,相続放棄の申述(申立て)をすることができます。相続放棄の申述が受理されると,申述人は最初から相続人ではなかったことになりますので,被相続人の債務を相続により負担することはなくなります。
→申立手続等については「家事事件について」の及び「相続放棄」及び「限定承認」をご覧下さい。

遺言書の検認

遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又はこれを発見した相続人は,遺言者の死亡を知った後,遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また,封印のある遺言書は,家庭裁判所で相続人等の立会いの上開封しなければならないことになっています。
検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

Q. 亡くなった父の自筆の遺言書を発見したのですが,どうすればよいでしょうか。

A. 家庭裁判所で遺言書を開封し,遺言書の検認を行う必要があります。自分で開封せずに,速やかに遺言書の検認の申立てをしてください。  →申立手続等については「家事事件について」の「遺言書の検認」をご覧下さい。

遺言執行者の選任

遺言によって遺言を執行する人が指定されていないとき又は遺言執行者がなくなったときは,家庭裁判所は,申立てにより,遺言執行者を選任することができます。
遺言執行者とは,遺言の内容を実現する者のことです。

Q. 検認を受けた自筆証書遺言があるのですが,その内容を実現するためには,遺言執行者の選任が必要であると言われました。どうすればよいでしょうか。

A. 遺言執行者選任の申立てをしてください。  →申立手続等については「家事事件について」の「遺言執行者選任」をご覧下さい。

相続財産管理人

相続人の存在,不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして,結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる。)には,家庭裁判所は,申立てにより,相続財産の管理人を選任します。
相続財産管理人は,被相続人(亡くなった方)の債権者等に対して被相続人の債務を支払うなどして清算を行い,清算後残った財産を国庫に帰属させることになります。
なお,特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する相続財産分与がなされる場合もあります。

Q. 亡くなった人に相続人がいるかどうか分かりません。その人の財産の清算をするにはどうすればよいでしょうか。

A. 家庭裁判所に相続財産管理人選任の申立てをし,選任された相続財産管理人に清算手続をしてもらうことになります。  →申立手続等については「家事事件について」の「相続財産管理人選任」をご覧下さい。

相続財産管理人

相続人の存否が不明の場合に家庭裁判所により選任された相続財産管理人が被相続人(亡くなった方)の債務を支払うなどして清算を行った後,家庭裁判所の相続人を捜索するための公告で定められた期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合,家庭裁判所は,相当と認めるときは,被相続人と特別の縁故のあった者の請求によって,その者に,清算後残った相続財産の全部又は一部を与えることができます。

Q. 亡くなった内縁の夫には相続人がいません。内縁の夫名義の家は私が相続できるでしょうか。

A. 相続人不存在の財産は,最終的には国庫に帰属する(国のものになる)ことになります。しかし,被相続人と特別の縁故がある者については,申立てにより,その者に財産を分与することが認められることがあります。  →申立手続等については,「家事事件について」の「相続財産管理人選任」及び「特別縁故者に対する相続財産分与」をご覧下さい。

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